第4節 資料提出及び報告徴収等(第24条―第28条)
第2条 この訓令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 査察 立入検査、違反処理及び火災予防のための措置を含む行政作用をいう。
(2) 立入検査
法第4条又は
法第16条の5の規定により消防対象物に立入り、その位置、構造、設備及び管理の状況について検査し、又は質問を行い、火災予防上の不備欠陥事項について関係者に指摘し、その是正を促す行為をいう。
(3) 違反処理 警告、命令、特例認定の取消し、許可の取消し、告発、過料事件の通知、代執行又は略式の代執行によって違反の是正を図るための行政上の措置をいう。
(4) 少量危険物
危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)別表第3に定める指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物をいう。
第3条 消防長及び消防署長は、消防対象物(以下「査察対象物」という。)について査察を執行し、関係者に火災発生危険及びこれに伴う人命危険を予防させることにより、火災から住民の生命、身体及び財産を保護することに努めなければならない。
第4条 消防長及び消防署長は、査察業務と行政責任とのかかわり合いを十分認識するとともに、社会の動向等を的確に洞察し、常に社会情勢に対応した査察に努めるものとする。
2 消防長及び消防署長は、査察業務が計画的に執行できるよう業務管理の適正化に努めるものとする。
3 消防長及び消防署長は、査察対象物の複雑及び多様化に対応するため査察に従事する消防吏員(以下「査察員」という。)に対する研修の実施、自己啓発の助長等により査察技術の向上を図るよう努めるものとする。
第5条 消防長及び消防署長は、立入検査等により得た情報については機密の保持に十分に配意するなど適正に管理し、消防活動等、消防行政上広くその活用が図られるよう努めるものとする。
2 消防長及び消防署長は、立入検査計画等の査察関係情報がみだりに関係者、防火管理者、危険物保安監督者、危険物取扱者その他査察対象物に関係のある者(以下「関係者等」という。)に流れることのないよう機密の保持に十分配意するものとする。
第6条 査察対象物を用途、規模、出火危険及び人命危険等に応じて
別表のとおり区分するものとし、定期的に立入検査を実施するものとする。
(1) 通常査察 年間立入検査計画等の事前の計画に基づいて行うもの
(2) 随時査察 市民等から防火上の要請があった場合等、計画外で機動的に必要な事項について行うもの
(3) 特別査察 消防長又は消防署長が査察の必要があると認める場合においてその実施を命じて行うもの
(4) 確認査察 立入検査により指摘した不備欠陥事項の是正状況を確認するために行うもの
第8条 消防長は、消防本部予防課に査察執行責任者を置くものとする。
2 消防署長は、消防署、分署及び分遣所に査察執行責任者を置くものとする。
3 査察執行責任者は、査察が円滑に執行されるように努めなければならない。
第9条 査察員は、査察業務を行うために必要な知識及び技術を習得し、適正な業務の推進を図るとともに、行政に対する信頼を高めるよう努めなければならない。
第10条 消防長は、次に該当する査察について執行する。
(3) その他
別表に掲げる査察対象物のうち消防長が必要と認めるもの
2 消防署長は、消防長が執行するものを除く管轄区域内の査察対象物について査察を執行するものとする。
第11条 消防署長は、査察の執行に当たり必要があると認めるときは、消防長に予防課査察員(以下「本部査察員」という。)の派遣を要請することができる。
2 消防長は、前項に規定する要請があったときは、その状況に応じて本部査察員を派遣するものとする。
第12条 消防長は、あらかじめ翌年度の年間立入検査の重点実施事項を示すものとする。
2 消防署長及び予防課長は、前項の重点実施事項により、年間立入検査計画を策定し3月末日までに年間検査計画表(
様式第1号)により消防長に報告しなければならない。
3 消防署長及び予防課長は、年間立入検査計画に基づいて翌月の具体的な立入検査の計画を月間検査計画表(
様式第2号)により毎月末日までに策定しなければならない。
第13条 消防署長及び予防課長は、管内の実情並びに査察対象物の危険状態、自主管理状況及び過去の立入検査結果を勘案して、立入検査の実施順位を定め計画を作成するものとする。
2 消防署長及び予防課長は、火災の発生状況又は社会情勢等により必要と認めるときは、前条及び前項の計画を変更できるものとする。
第14条 立入検査を実施する場合は、
法第4条及び
法第16条の5の規定によるほか、次に掲げる事項に留意しなければならない。
(1) 査察員は、常に関係法令に精通するとともに、査察に必要な知識の習得及び能力の向上に努めること。
(2) 原則として、関係者等の立会いを求めること。
(3) 正当な理由がなく立入検査を拒否、妨害又は忌避(以下「拒否等」という。)する者がある場合は、立入検査の要旨を十分説明し、なお応じないときは、関係者等の拒否等の理由を確認するとともにその旨を上司に報告し、指示を受けること。
(4) 機器の操作については、関係者等に操作を求めること。
(5) 査察対象物の電気設備、機械装置、有害物質その他人体に危険のあるものについては特に注意を払い、感電、転落防止等の事故防止を図ること。
2 査察員は、立入検査の結果改善を要する事項があった場合は、その内容を関係者等に十分説明しなければならない。
第15条 立入検査は、消防士長以上の階級にある査察員を長とし、原則として複数のもので行うものとする。ただし、査察対象物の状況等により消防長又は消防署長が認める場合はこの限りではない。
第16条 立入検査は、出火危険、延焼危険及び人命危険の排除を主眼として、次に掲げるものの位置、構造、設備及び管理の状況等について行うものとする。
(2) 防火管理者、危険物保安監督者、危険物取扱者等の業務遂行状況
(3) 消防計画、共同防火管理協議事項及び予防規程等の状況
(10) 危険物製造所等(
法第10条第1項に定める製造所、貯蔵所及び取扱所をいう。以下同じ。)
(11) 前号に掲げるもののほか、火災予防上及び消防活動上必要と認める事項
第17条 消防長及び消防署長は、当該査察対象物に関する資料等を査察対象物台帳として編集し、整理しておかなければならない。
第18条 査察員は、立入検査を行った場合は、確認査察を除き、その結果を速やかに消防長又は消防署長に報告しなければならない。
2 査察執行責任者は、毎月及び年間の査察の結果を取りまとめ、査察実施結果表(
様式第3号)により消防長又は消防署長に報告しなければならない。
3 消防署長は、前項の規定による報告を受けたときは、管内の査察結果を取りまとめ消防長に報告しなければならない。
第19条 消防長、消防署長又は査察員は、立入検査を実施した結果を当該査察対象物の関係者に対して、立入検査結果通知書(
様式第4号。以下「通知書」という。)に不備欠陥事項及びその他必要事項(以下「指摘事項」という。)を記載し通知するものとする。
第20条 常置場所が管轄区域外である移動タンク貯蔵所のうち、法令違反が認められるものについては、通知書とともに、移動タンク貯蔵所違反通知書(
様式第6号)の写しを添えて当該移動タンク貯蔵所の常置場所を管轄する市町村長に通知するものとする。
第21条 消防長又は消防署長は、立入検査において指摘した他法令の防火に関する規定については、主管行政庁に通知し、是正促進を要請するとともに、十分な連絡を図り、その是正指導に努めるものとする。
第22条 消防長又は消防署長は、通知書により通知した指摘事項について、通知書交付後、速やかに改修等報告書(
様式第7号)により関係者に改修の報告を求めるものとする。
2 消防長又は消防署長は、改修等報告書の提出があったときは、その内容を検討し、必要があると認めるときは、計画の変更その他必要な措置をとるよう指示するものとする。
第23条 消防長又は消防署長は、査察対象物の関係者が改修等報告書の提出を怠っている場合又は指摘事項の改修の履行が確保できないと認める場合は、必要に応じて査察員に追跡調査をさせ、時機を失することなく違反処理を行うものとする。
第24条 消防長又は消防署長は、火災予防のために必要がある場合は、関係者に対して任意の資料の提出を求めるものとする。
2 消防長又は消防署長は、前項の規定による関係者による任意の資料提出が困難又は適当でないと認めるときは、資料提出命令書(
様式第8号)により資料の提出を命ずるものとする。
第25条 前条の規定により資料を提出させる場合は、資料提出書(
様式第9号)により提出させるものとする。
第26条 消防長又は消防署長は、前条の規定により資料の提出があった場合は、提出者に提出資料保管書(
様式第10号)を交付するものとする。ただし、提出者が資料の所有権を放棄した場合は、この限りではない。
2 資料の提出者が資料の所有権を放棄した場合は、提出資料受領書(
様式第11号)を交付しなければならない。
3 第1項の規定による提出資料保管書を交付した資料は、紛失、損傷等しないよう保管し、保管の必要がなくなった場合は、提出者に当該資料を還付するものとする。この場合、提出資料保管書に還付及び受領した旨の署名等を求めるものとする。
第27条 消防長又は消防署長は、火災予防のために必要がある場合は、関係者に対して任意の報告を求めるものとする。
2 消防長又は消防署長は、前項の規定による関係者による任意の報告が困難又は適当でないと認めるときは、報告徴収書(
様式第12号)により報告を命ずるものとする。
3 前項の規定による報告があった場合は、報告徴収受領書(
様式第13号)を交付するものとする。
第28条 法第16条の5第1項の規定により、危険物又は危険物であることの疑いのあるものを収去しようとする場合は、収去証(
様式第14号)を交付しなければならない。
第29条 この訓令に定めるもののほか、必要な事項は、消防長が別に定めるものとする。
この訓令は、平成18年4月1日から施行する。ただし、第12条の規定は平成18年2月1日から施行する。
この訓令は、公示の日から施行する。ただし、第2条の規定は平成21年4月1日から施行する。
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区分 | 対象物 |
| ア 政令別表第1(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項及び(9)項イ、(16の2)項に掲げる防火対象物で法第8条第1項及び政令第21条第1項の規定の適用を受けるもの |
第1種査察対象物 | イ 政令別表第1(16)項イに掲げる防火対象物で政令第21条第1項の規定の適用を受けるもの |
| ウ 政令別表第1(16の3)項に掲げる防火対象物で法第8条の2第1項の規定の適用を受けるもの |
第2種査察対象物 | ア 政令別表第1(5)項ロ、(7)項、(8)項、(9)項ロ、(10)項から(15)項までに掲げる防火対象物のうち法第8条第1項及び政令第21条第1項の規定の適用を受けるもの |
イ 政令別表第1(16)項ロに掲げる防火対象物で政令第21条第1項の規定の適用を受けるもの |
第3種査察対象物 | 政令別表第1に掲げる防火対象物のうち法第8条第1項の規定の適用を受けるもの。ただし、第1種査察対象物及び第2種査察対象物に該当するものを除く。 |
第4種査察対象物 | 政令別表第1に掲げる建築物その他の工作物のうち政令第10条第1項の規定の適用を受けるもの。ただし、第1種査察対象物から第3種査察対象物に該当するものを除く。 |
第5種査察対象物 | 危険物製造所等 |
第6種査察対象物 | 第1種査察対象物から第5種査察対象物に掲げるもの以外の消防対象物 |
(注)政令とは、
消防法施行令(昭和36年3月25日政令第37号)をいう。

様式第1号
(第12条関係) 
様式第2号
(第12条関係) 
様式第3号
(第18条関係) 
様式第4号
(第19条関係) 
様式第5号
(第19条関係) 
様式第6号
(第20条関係) 
様式第7号
(第22条関係) 
様式第8号
(第24条関係) 
様式第9号
(第25条関係) 
様式第10号
(第26条関係) 
様式第11号
(第26条関係) 
様式第12号
(第27条関係) 
様式第13号
(第27条関係) 
様式第14号
(第28条関係)